理事長所信

理事長所信及び基本方針

2024年度 理事長 塚原大輔

はじめに

2011年5月、私は災害ボランティアへ参加するため岩手県陸前高田市のボランティアセンターに向かいました。被災地の悲惨な状況を目の当たりにして、津波の被害の甚大さに衝撃を受けたのは言うまでもありませんが、さらに印象的だったのは集まったボランティアの人の多さでした。老若男女問わず見渡す限りの人だかりは今でも鮮明に覚えています。多くの人が被災地・被災者のために集い復興活動をする。まさに、私自身にとって「利他の精神」を明確に体現できた経験でありました。

青年会議所運動を展開していく中で「利他の精神」は根底に必ず存在します。まちのため、ひとのため、仲間のために見返りを求めず尽力をする。しかし決して自己犠牲で自分自身を追い込むというわけではありません。それぞれが実践し、より高みを目指し共に切磋琢磨することで1人では起こせない様々な奇跡を実現できている。まさに、奉仕の連鎖の中に我々の運動は刻まれているのです。

45周年に向けた中期目標~まちづくりを起こせるひとづくり~

入会3年以内のアカデミーメンバーは、本来であれば気軽に事業や例会に参加してJC運動の楽しさを純粋に感じてもらい、新しい風となり組織を活性化させてくれる存在です。しかし、坂東青年会議所のアカデミーメンバーは即戦力として理事メンバーに入るなど、事業構築を中心的に行い活躍してくれています。青年会議所はイベント屋と思われがちですが、事業はあくまで目標を達成させる手法の1つであり、我々は明確な目的を持って運動をしています。よって事業構築の際には、着目する課題の選択と解決手法の選択が非常に重要になってきます。この2つの「選択」には青年会議所の経験が非常に重要となるのです。経験がなければ現状の分析と課題の抽出は出来ませんし、見識がなければ最善の一手を選択出来ないのです。

青年会議所での大きな財産として、挑む課題から多くの学びと見識を得られる事にあります。本年は見識と経験の積み重ねによるメンバーの成長を第一に考え、坂東青年会議所OB会など多方面からのサポートを受けながら若手メンバーの育成に注力してまいります。青年会議所の理念やまちの未来を語りながら、描きたい未来や行ってみたい事業を共に発見し実現させ、3年後に向かえる創立45年の節目の年に地域にインパクトのある事業や運動を展開できるJAYCEEを生み出す礎の年とします。

JCブランドの確立と求められる団体へ

青年会議所がこの地に誕生して42年、地域の方々に見守られながら諸先輩方の志ある行動が歴史を積み重ね、共感と興奮が後進に繋がってきたからこそ今の我々があります。メンバーへの青年会議所運動の伝播を継承と捉えるなら、一般市民の方々への青年会議所運動の伝播は広報と会員拡大であると考えます。青年会議所の掲げる理念を全うし対外の方々にも運動の周知が充分に出来ていれば、自然と志ある人が集まる組織になっているはずです。私は会員数の増減は坂東青年会議所の運動の成果や評価の指針であり、今現在の地域からの評価のひとつの表れであると考えています。本年度は広報活動としてSNSの活用と共に、事業の案内やPRなど丁寧で積極的な動員を行い、まずは坂東青年会議所を知ってもらい、興味を持ってもらえるよう努めてまいります。

また、私たちはJAYCEEである前に、一青年経済人であることを忘れてはなりません。我々は日々の生活で多くの人と接しており、その言葉や意識、立ち居振る舞いによって青年会議所がどのような団体であるかを判断されるのです。個人としても組織としても社会的信用を得ることが効果的なJCブランドに繋がることは間違いありません。いま一度、メンバー一人ひとりが、日々の生活においても品格ある青年経済人として自覚し、より魅力的な組織となり同じ志を持つ仲間が増えるように邁進してまいります。

多様性と柔軟性のある地域連携の構築

近年自然災害が非常に身近な事象になっています。地震に限らず、台風や線状降水帯の発生により毎年の様に全国各地で水害が発生しています。茨城県内でも多くの被災地があり、その都度青年会議所は復興のマンパワーとして最前線にて活動をしてまいりました。私達が住み暮らすまちもいつ災害が起こっても不思議ではない今、共助(地域・組織・グループによる助け合い)の連携が欠かせないものとなってきています。

災害時において情報伝達や指揮系統の確立が困難であることは紛れもない事実です。志ある各団体がバラバラの活動するのではなく、1つのチームとなり迅速な対応と的確な行動を提供することが出来れば早期の柔軟な対応が可能となり、先の見えない不安を抱える被災者の方々に希望を与えることが出来ると考えます。各団体においてそれぞれ目的があり活動されている中で、「防災・減災」という共通目的のもとに平時より連携を取れることは非常に有意義であり、効果的であると考えます。同じ地域に住み暮らす者同士、互いの特徴を生かした連携強化を図ります。

スケールメリットを活かしたJCネットワークの構築

 青年会議所の魅力として所属LOM以外のメンバーとの交流機会の多さが挙げられます。様々な事業への参加はもちろんですが、心髄はやはり「出向」です。JCI、日本本会、関東地区、茨城ブロックと様々な出向がありますが、そこでの事業は予算も規模も携わる人数も桁違いに大きくなります。出向先では他LOMの同志と出会い、共に活動することで新たな友情を築き得るという魅力があります。また、「LOMの看板を背負っている」という気概を持ち出向で向き合う大きな壁に挑むことで、今までに得た自信と経験と実績が試され、自分の置かれている立ち位置を気づかされた上で新たな成長への道が見えるのです。坂東青年会議所のメンバーにも最後まで諦めず確固たる信念を持って成し遂げた者だけに見える景色と、達成感から得られる自己成長を体感してもらえるように支援体制をしっかり構築してまいります。

子供たちの健全な育成に向けて

わんぱく相撲坂東場所は本年で28回目を迎える事業となります。コロナ禍の中断期間を経て昨年は盛大に開催をすることが出来ました。私自身長きにわたりこの事業に携わり、多くの感動と成長を子供達・関係者から受け取らせていただきました。礼節や相手へのリスペクトをきちんと伝え、感謝の心を持った心豊かな日本人の美徳を育みます。道具を使わずに身体ひとつで相手と向き合う相撲は、純粋に子供達の心と身体を平等に育めるすばらしい事業であると確信しています。

また昨年より地元茨城県の二所ノ関部屋のご協力をいただき、二所ノ関親方にも坂東場所へご来場をいただきました。例年にない盛り上がりをみせて、わんぱく相撲坂東場所は青少年健全育成事業からまちおこしの事業へとステップアップ出来たと感じています。参加いただく小学生だけではなく、市民の皆様に楽しんでいただけるハイブリッド事業として更にブラッシュアップさせてまいります。

ばんどうゴミゼロプロジェクト

コロナ禍で思うような、活動が出来ない中で2021年に「ばんどうゴミゼロプロジェクト」と題して市内の清掃活動の例会を実施し、その後も市の中高生ボランティア「むぎの会」などと連携を取って清掃活動を続けてまいりました。青年会議所の運動はなかなか目に見える成果が出にくい反面、清掃活動は目に見える成果を実感出来る運動です。まちをきれいにするという奉仕的側面、現役やOBの交流となる社交的側面、青年会議所をまだ知らない方々にも認知してもらえる広報的側面と多くの可能性を持っている清掃活動を坂東青年会議所は継続的に実施してまいります。

結びに

今、私達が青年会議所運動に力を注ぐことが出来ているのは、周りのサポートがあるからです。家族や会社のサポートのおかげで青年会議所運動に邁進することができ、自分自身が成長し還元することで、大切な人の未来を明るく豊かなものにすることが出来るのです。その大切な人の中には坂東青年会議所メンバーのもちろん含まれています。互いが支え合う同志であり、切磋琢磨するライバルでもあるのがメンバーと共に、目指す未来の実現に向け一致団結して課題に正面から取り組み、個々の思考と行動を磨き上げてまいります。

感謝を忘れず、ただひたすらに前へ、軌跡を紡ぎ、奇跡を起こしましょう。


<基本方針>

  • 45周年に向けた中期目標~まちづくりを起こせるひとづくり~
  • JCブランドの確立と求められる団体への醸成
  • 多様性と柔軟性のある地域連携の構築
  • スケールメリットを生かしたJCネットワークの構築
  • 子供たちの健全な育成に向けた事業の実施
  • ばんどうゴミゼロプロジェクトの実施