理事長所信及び基本方針

はじめに
「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら何をする?」
これは「ペイ・フォワード 可能の王国」という映画の中のセリフです。ペイ・フォワードとは恩送りがテーマになっている映画であり、私がこの言葉を知ったきっかけでもあります。この映画は原作者が実際に他人から善意を受けた経験から生まれた映画であり、この映画を観てから恩送りに共感し、誰かのために奉仕することが私の中で尊いものになりました。その経験をきっかけに、その後の生活や仕事の中でありがとうという感謝の言葉の大切さを知り、より奉仕に対する想いが強まりました。ちょうどその頃、入会前に誘いを受け、坂東青年会議所で行われていたドライブインシアターの事業に初めて参加し、当時のメンバーの利他的な精神や行動を誇りに思い、入会を決意したことを今でも覚えております。
青年会議所は誰かのために無償で奉仕することができるという、愛に溢れた組織だと私は考えております。時代の流れと共に多様な考えが生まれ、さらにはネット環境や通信手段が異なるため、孤立や利己的な考えが多くなっている昨今、このような時代だからこそ地域のために、誰かのために無償で奉仕することができる青年会議所という組織、そして誰かのために奉仕することができる素朴で純粋な思いやりの心をもつ人財が必要です。誰かのために奉仕できる人財が増えることで、私たちが住み暮らすまちは必ず良い方向へと進んでいくと確信しております。まちのため、人のため、私たち自身も含め、笑顔で溢れた愛を育み、利他の精神の醸成に邁進してまいります。
人と人が繋がる魅力ある地域の創造
以前、私が教師をしていた頃、様々な教師や保護者がおりましたが、子どものために動くという、この一点について、全員が同じベクトルを向いており、教師と保護者の信頼関係の基、健やかな成長を願い、子どもに対して常に全力で様々な事業や問題に取り組んでいたことが、今でも思い出されます。エネルギーが良い方向へ向くことで、素晴らしい可能性を秘めていることに気づくことができました。
視点を変えると、私たちが住み暮らすまちの中で、まちを住みづらくしたいという人はいないと考えます。住みやすい、魅力あるまちにしたいという想いはほとんどの人が少なからず思うことであり、その想いのベクトルを私たちの運動を通して合わせることで、人と人が繋がる魅力ある地域を創造することができます。
ベクトルを合わせるために必要なのは多様性を理解し、尊重することであり、その多様性を学ぶために必要なのは多くの出会いとコミュニケーションです。人は同じ価値観の下では革新的なアイディアが生まれづらく、また、急速に変化する社会だからこそ、社会や地域の変化に敏感であることが求められます。その状況を打破するためには地域、人脈等の自身の枠を超えた外の文化に触れ、多様な人々とコミュニケーションを図る習慣をもち、様々な見識や知識、価値観の幅を広めることが重要です。反面、多様性の難しさも同時に理解しなくてはいけません。様々な価値観の違いによる対立、無意識の差別や偏見等、多様だからこそ発生する問題点は必ずあります。
多様性のメリット、デメリットを理解し、地域団体との協力や市民に向けた事業など、積極的に外の文化に触れ、多様な価値観や、物事を相対化して見る力を学びましょう。そして、その学びを基に、私たちの団体を客観視することで、団体や個人の成長へと繋げ、更には青年会議所の認知へと繋げてまいります。
共感した想いをもつ仲間づくり
団体や企業において、目標を達成する過程で様々な困難に直面することがあります。その困難を乗り越え、目的を達成するためには、強い意志と行動力を持った人財と共に、チームとして結束していくことが求められます。日本青年会議所でも理念の共感を軸に会員拡大を行っており、そのような同じ志を持つ仲間が増えることで、まち、そして日本は必ず変えられると確信しております。まちにインパクトを与える事業を続けていくためには、継続的な同じ志をもつ仲間の発掘が必要です。
同じ志をもつ仲間はとても貴重な宝であり、私自身もこの仲間の存在により、こうして理事長の職をお預かりすることができました。青年会議所を卒業した後も続く繋がりは、苦楽を共にし、切磋琢磨をした者だけが得られるものであり、簡単には得られるものではありません。JAYCEEという共感できる要素があることで、地域はもちろん、国境までも飛び越え、仲間ができることはこの団体の魅力だと考えます。
私たち自身が青年会議所の理念を理解し、楽しく笑顔で活動する姿は、まちに住む人々を惹きつけ、共感を生みます。その姿と共に、坂東青年会議所の運動を深く理解いただくためには、広報活動を活発化することも重要です。私たちの運動を知り、理解し、共感していただき、私も一緒に活動したいという仲間を集めましょう。共感の力は必ずや私たちの力強い味方となり、その力は私たちが困った際には仲間として必ず助けてくれます。
ウェルビーイングを高められる幸せな組織づくりやひとづくり
ウェルビーイングとは良い状態、幸福な状態等の持続的な幸せを表す言葉であり、精神的、社会的、身体的に良好な状態であることを指す概念として認知されています。
私は、持続可能な明るい豊かな社会の実現に向けて、働く人々が充実感や幸福感を持って仕事にあたり、その家族や関わる人々が幸せを感じるような地域にしたいと考えています。それは私たちの団体でも同様で、そこで重要になるのは組織づくり、そしてそこに関わる人です。ウェルビーイングが高まることで、個人の幸福度の向上、組織への定着率や主体性、生産性の向上が期待されます。個人のウェルビーイングの向上は組織全体へ影響し、多様性溢れる持続可能な組織運営へと繋がります。その影響はまちへも伝播していき、笑顔溢れる幸せな人が集う持続可能な地域の創造へと連鎖していきます。
実際に運動を起こし、社会課題を解決するのは一人ひとりのメンバーであり、このメンバーそれぞれの協力があるからこそ、私たちの組織が存在します。一人ひとりが組織を作っているという当事者意識を持ち、自己肯定感や他者と協働する力を育みつつ、個人の幸福度を高めましょう。そこから組織として、SDGsにもあるように、誰一人取り残さないことを目標に、ウェルビーイングという概念を取り入れ、他人を笑顔にする以前に私たち自身も笑顔になれるよう、適切な組織環境を見極め、育成の仕組みづくりをしてまいります。
子どもたちの未来を創る青少年健全育成
坂東青年会議所が行う青少年健全育成を目的とした事業として、わんぱく相撲が例年行われております。幼少期の経験は心に残る記憶となり、大人になっても忘れることはありません。子どもたちには相撲というスポーツを通じて礼節を学び、努力や思いやりなどの社会生活に必要な徳性を養う場として、毎年多くの子どもたちに参加していただいております。子どもたちに「勇気・礼節・感謝」の心を伝えることを目的に継続してきた事業であるため、今後も継続していく必要があると考えます。
本年度は坂東青年会議所が主管として県大会を行うこととなっており、参加者の皆様には、喜びや達成感、悔しさを体験する機会を創出するとともに、子どもたちの輝かしい姿をご覧いただくことができるよう尽力してまいります。
ばんどうゴミゼロプロジェクトの実施
わんぱく相撲坂東場所は本年で28回目を迎える事業となります。コロナ禍の中断期間を経て昨年は盛大に開催をすることが出来ました。私自身長きにわたりこの事業に携わり、多くの感動と成長を子供達・関係者から受け取らせていただきました。礼節や相手へのリスペクトをきちんと伝え、感謝の心を持った心豊かな日本人の美徳を育みます。道具を使わずに身体ひとつで相手と向き合う相撲は、純粋に子供達の心と身体を平等に育めるすばらしい事業であると確信しています。
また昨年より地元茨城県の二所ノ関部屋のご協力をいただき、二所ノ関親方にも坂東場所へご来場をいただきました。例年にない盛り上がりをみせて、わんぱく相撲坂東場所は青少年健全育成事業からまちおこしの事業へとステップアップ出来たと感じています。参加いただく小学生だけではなく、市民の皆様に楽しんでいただけるハイブリッド事業として更にブラッシュアップさせてまいります。
ばんどうゴミゼロプロジェクト
2021年、私がまちづくり委員長の際に始めた清掃活動は、現在でも中高生ボランティア「むぎの会」と協力しながら実施しております。私自身が初めて構築した事業であり、坂東市を綺麗なまちにすることで、そこに住み暮らす人々に坂東市に対して誇りをもっていただきたいという想いで構築しました。この清掃活動は世代を超えた交流としても有効で、誰でも行うことができ、目に見える成果が出やすいことで、まちに関わっているという思いからまちに対する誇りの醸成や環境の向上、地域の治安が良くなる等、様々なメリットがあります。まちづくりの一環として続けているこの活動は、より活動の幅を広げ、今後も継続して実施してまいります。
結びに
恩送りとは誰かに善意や親切を受けた場合に、その人に恩返しをするのではなく、別の誰かにその善意や親切を渡すことを指します。この恩送りのメリットとしては、人に喜んでもらうことで幸福感を得られることが挙げられ、その精神は、互いを思いやり、自然に後進が育ちやすい、ポジティブな循環を生みます。
冒頭に述べたように、青年会議所はこの恩送りを自然に行うことができる、愛に溢れた団体だと私は考えております。誰かのために自ら動くということは容易にできることではありません。誰かのために奉仕する、その恩送りの循環のきっかけを私たちが作ることができれば人やまちは必ず良い方向へ変化していき、巡り巡って自分自身にも返ってきます。JC運動を通し、JCで繋がる多くの仲間との出会いや、経験から生まれる知識や多様な価値観への気づきや学びを得ることができるように、青年会議所は自己を成長させてくれる最高の環境であると言えます。
私たちが変わればまちも変わる。昨年度の中で、考え、行動し、得られた学びを活かし、気概と責任をもち、地域を牽引する人財として、自信をもってJC運動に取り組みましょう。
愛と笑顔の連鎖、そのきっかけを作るのは私たちです。
<基本方針>
- 人と人が繋がる魅力ある地域の創造
- 共感した想いをもつ仲間づくり
- ウェルビーイングを高められる幸せな組織づくりやひとづくり
- 子どもたちの未来を創る青少年健全育成
- ばんどうゴミゼロプロジェクトの実施